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『恋におちたシェイクスピア』でわかる!!ロミオとジュリエットの原点

『恋におちたシェイクスピア』あらすじ

 

イギリスの女王エリザベス1世の治世、演劇がとても華やいでいました。その中に劇作家にして詩人、そして時に俳優でもあった才能豊かなウィリアム・シェイクスピアがいました。しかし、彼は重度なスランプに!

周囲にはそれを隠し、台本を催促されても「今、頭の中にしまってある」と誤魔化していました。しかし本当は医者にかかるほどのスランプでネタに困っていました。それでも何とか友人らからアドバイスを得て、喜劇を作成する準備に入りました。と言ってもやはりどこかしっくり来ません。

そこに運命の人物が表れます。トマス・ケントと名乗る男優がオーディションに来ました。シェイクスピアはトマス・ケントの名演に感激しすぐに主演に抜擢し、喜劇から悲劇、また恋愛物語へと台本を変えていったのです。しかし、そのトマス・ケントという人物、本当は資産家の令嬢・ヴァイオラという女性だったのです。

 

目次

『ロミオとジュリエット』誕生秘話 

本作は、ウィリアム・シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」がどうやって出来たのか描いた作品です。でもそもそも「ロミオとジュリエット」がどんな話かちゃんと知らないと本作を理解しきれません。

「ロミオとジュリエット」はざっと言うとこんなお話です。14世紀のイタリアで、敵同士の貴族の家に生まれたロミオとジュリエットが両思いとなります。2人は2つの家を1つにする意味も含めて、ロレンス修道僧に頼んで密かに結婚をします。しかしロミオが事故でジュリエットの親戚を殺してしまったことで、彼は追放されてしまいます。

悲しむジュリエットはそれでも諦めきれず、ロレンスに頼んで仮死状態になる毒を貰って死んだふりをするのです。本当はその後ロミオに添い遂げるつもりでしたが、肝心なロミオに計画がちゃんと伝わらず、本当にジュリエットが死んでしまったと勘違いしたロミオが絶望し、自害してしまうのです。そして仮死から目覚めたジュリエットは、ロミオの死に絶望し、自らも命を断つのです。

こんな悲哀なお話ができたきっかけが、シェイクスピア本人とヴァイオラにあったというのが本作の大筋となっているのです。2人をロミオとジュリエットに重ねて見るとより作品を楽しめます。細かい所まで、何が元になったのかを表現されていました。

 

当時のイギリスにおける舞台演劇 

日本の歌舞伎の如く、当時のイギリスの演劇において女性が舞台に立つことは許されていませんでした。その為、ヴァイオラは舞台に憧れようと、男装せざるを得なかったのです。また女性が本来使えないと言っても、女役は当然必要です。そういう時は少年が女性役をしたりしていたのです。

男装中のヴァイオラと女装をした男性(少年~青年の間)が「ロミオとジュリエット」のリハーサルをしている所は少し笑ってしまう所でもありました。甲高い声を男が出し、宝塚の如くヴァイオラが男を演じていたからです。

しかし、当時の人は大真面目に男と男が演じていたのが「普通」だったので、それはそれで不思議な感覚でもありました。ヴァイオラは途中女性であると見破られてしまうと、彼(実際にには彼女)の名演技に惚れていた俳優陣達も、彼女をかばうことはできませんでした。

 

わかりやすい恋のライバル・ウェセックス卿

貴族であるウェセックス卿は、資産家の令嬢であるヴァイオラと結婚する事で、彼女の家の財産をも狙っていました。勿論美しいヴァイオラを妻とする事にも力を注いでいました。しかしシェイクスピアが結婚前のヴァイオラと夜な夜な愛を交わし合うようになると、ウェセックス卿は激高します。

時にシェイクスピアを殺そうとしたりしますが、どこかウェセックス卿は抜けており、シェイクスピアの罠にハマったり、シェイクスピアのヴァイオラの侍女に扮した女装に騙されてしまう等、笑い所も多々ありました。なので、本作そのものは悲喜劇なのです。

ところで、そもそもこのウェセックス卿、実はエリザベス女王のかつての恋人(エセックス伯)を表現したキャラクターだと思われます。

特に作中で詳しい説明や節はあまりないものの、年老いた女王が彼に対して自分が「女」であることを強調したので、恐らくそうなのでしょう。女王とヴァイオラと結婚しようとするウェセックス卿のギクシャクした感じがよく伝わってきました。

 

ウェセックス卿も魅入ってしまった「ロミオとジュリエット」の劇

女とばれてしまったヴァイオラは、ウェセックス卿と結婚式をあげます。当然彼女は「ロミオとジュリエット」には出れないと思っていました。一方舞台では女役の男優が声がでなくなるというハプニングが発生します。

当然シェイクスピアは絶望していました。ところが何とヴァイオラが式が終わるやその花嫁衣装のまま、シェイクスピアの下に帰ってきて、舞台に立ってしまうのです。救世主の如く現れた彼女に、落ち込んでいたシェイクスピアは歓喜します。そして2人はお互いの愛のキスを舞台裏で厚く交わしました。

そんな本当の愛の感情を胸に抱くヴァイオラが再び舞台でジュリエットを演じるや、観客はどんどん引き込まれていきます。そして結婚式を抜け出したことに気づいたウェセックス卿も観客席に紛れ込んで、劇を見てしまいます。貴族である彼ならば演劇を止めることもできましたが、そうすることができないほど劇に感じ入ってしまったのです。

 

粋な女王とシェイクスピアの恋の終演

劇の終わった「ロミオとジュリエット」は大絶賛されました。観客の中には、群衆の波に流されてホールに入ってきてしまった聖職者まで涙し拍手喝采していました。

彼は物語冒頭等で「演劇は堕落である」と布教していた人物です。そんな彼でも感激する劇ながらも、ヴァイオラが女性であることは一目瞭然でしたので、すぐに役人(祝典局長)が兵士を連れて彼女を逮捕しようとします。

しかしそれを待ったをかけたのが、お忍びで舞台にいたエリザベス女王だったのです。ヴァイオラが女性であることを知りながらも「彼を女と間違えても無理はない」と取り繕って、彼女を守ってくれたのです。ただ神の前で誓ったウェセックス卿とヴァイオラの結婚は、女王と言えども取り消しはできないので、彼女にウェセックス卿と共に新天地(アメリカ)へ旅立つように命じました。

シェイクスピアにとってはヴァイオラとの別れでもありましたが、覚悟もしていました。また彼の作品が女王に高く評価されたのも事実でした。そうしてシェイクスピアは大変な出世をし、女王の命令で次作は喜劇の「十二夜」を作りました。

こうして、ヴァイオラとシェイクスピアの恋物語が、まさに「ロミオとジュリエット」とリンクして終演するのでした。

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