漫画よみメモ!

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「不倫」の代名詞とも言える『アンナ・カレーニナ』(2012)

 

『アンナ・カレーニナ』あらすじ

 

帝政ロシアの時代、アレクセイ・カレーニン伯爵の妻アンナ・カレーニナは、列車で単身モスクワに来ました。そこでアレクセイ・ヴロンスキー伯爵という若く清々しい男性と知り合いました。

美女アンナが隣りに入れば、まさに「美男美女」の完成です。しかし夫も子もいるアンナは、一時のトキメキを胸にしまって、ペテルブルクに帰京します。

しかし、ヴロンスキー伯爵はアンナへの想いを断ち切れず、彼女を追い続けます。それは貴族達の社交界の場でも同じだったので、彼らの噂はたちまち広がり、それはカレーニン伯爵の耳にまで入ってしまったのです。

 目次

「不倫」という名の愛を肯定しようとするアンナ

 

どこの世界・どこの時代でも不倫は許されないものです。ですが、彼女はその想いを隠そうとしませんでした。夫カレーニン伯爵に遠回しに注意されても、決して改めることはありませんでした。

カレーニン伯爵はロシア帝国の高官で権力もある男性でしたが、彼女を思うようにすることはできませんでした。アンナとヴロンスキー伯爵の不倫は続き、ついに2人の間に子どもまでできてしまいました。

それでもカレーニン伯爵は許しました。世の男性としては大変優しい人とも言えますが、大変優柔不断であったも言えます。もし彼がもっと彼女に強く言ったならば、不倫は止まったかもしれません。ですが、彼もアンナを愛していたからこそ、失うのが怖かったのも確かだったと言えます。

 

二人共「アレクセイ」であり「伯爵」であるという皮肉

 

アンナは時に「アレクセイ」とヴロンスキー伯爵を呼びますが、それは夫の前である時もあります。これは夫カレーニン伯爵にとってはとてもつらいことであったでしょう。そして2人とも伯爵という地位にあり、何という皮肉でしょうか。

ヴロンスキー伯爵と一緒になりたいと言ったアンナがどこまで考えていたかはわかりませんが、経済的にも地位身分としても都合が良かったと言えるでしょう。

ロシア高官のカレーニン伯爵とて、相手が伯爵ではそう簡単に手は出せないことでしょう。といっても本作ではカレーニン伯爵は一切、ヴロンスキー伯爵に嫌がらせの1つもしなかったので、その点は女々しくなることがなかったので立派です。勿論、同時に弱々しいとも言えますが…。

一般の男性なら、子どもまで作った不倫相手の男を殴りつけてもおかしくはないのですから。反対にカレーニン伯爵は、断じて離婚はしないと名言していたので、夫として最低限のプライドはあったようです。

 

「見せる」舞台風の変わった映画手法

 

本作では、舞台劇として物語が進行します。屋内撮影をメインに場面が転換します。舞台上で場面を変える時、幕をたらさずに、そのまま黒衣(黒子)がセットを動かしたりするイメージです。それに近い形で、機械的に様々なセットが上下左右と動くのです。

華やかな貴族達のパーティーの場面では、シャンデリアが現実ではありえない場所にまで上下したりします。その意味でアンナ達の恋愛模様だけでなく、セットを目で見て楽しむこともできます。

恐らく素人が同じことをしようとすると大変ちゃっちい物になってしまうような難しい手法ではありますが、本作ではそれを感じさせません。美女アンナキーラ・ナイトレイが演じるに十分な映画となりました。

 

暴走するアンナについていけなくなる男達

 

夫カレーニン伯爵に、不倫を公言するほどのアンナにヴロンスキー伯爵は次第に怖気づくようになりました。ヴロンスキー伯爵は初めこそ燃えるような恋として不倫を始めましたが、自身の過ちもちゃんと理解していました。当然世間体も気になります。

しかしどんどんアンナの愛は重く深くなってきます。時に、カレーニン伯爵がアンナに子供たちには会わせないといった当然のペナルティを与えた時もありましたが、結局はカレーニン伯爵が折れてしまい、子供たちとのふれあいも許してしまいます。

そうなるともはやアンナを止める人が誰もいなくなってしまいます。このように、通常の不倫は夫が咎めるものですが、アンナの場合それがなく、時間が立つにつれ、ヴロンスキー伯爵の方がブレーキをかけ始めるという変わった状態になっていくのです。といってもそのブレーキはもはやアンナには何の効果もありませんでした。

 

あえて罵倒されるという事は大切なのかも

 

不倫をすれば、世間からバッシングを受けるのは当然のことです。アンナの場合も当然受けても仕方がありません。しかし、彼女の場合夫や不倫相手ではブレーキがかかりません。そこで有効なのが赤の他人の言葉です。

彼女は不倫相手と子どもを作ったにもかかわらず、平然とヴロンスキー伯爵と社交界の場に顔を出しました。

ある時、劇場でアンナは隣りの席の高貴な夫妻に話しかけるも無視されます。気の毒に思った別の夫妻の紳士がアンナに声をかけました。しかしすぐにその紳士の妻が声掛けを咎めました。

紳士はあくまで親切心だったと言いますが、妻は「同じ空気を吸うのも嫌」等、汚い言葉でアンナ達を声高らかに軽蔑しました。その声に周囲の紳士や夫人も反応し、冷たい目でアンナ達を睨んだのです。

こういった汚い言葉や行動は、時に人に傷つける刃となりますが、アンナにはこれが本来もっと前に必要だったと言えます。これが世間の目であると初めて知った彼女は大変うちのめされるのです。

その後、心を病んだアンナは、ヴロンスキー伯爵が別の女性に心が移ったと思い込み、ついに最後、列車に身を投げるという悲しい結末を選んでしまったのです。彼女にはもっと前に、自身の行動がどういったものであるかをしっかり伝えてあげることが必要だったんだと思いました。

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