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泣きたい時に読みたい漫画なら「最終兵器彼女」

アニメ化、映画化も果たし、一世を風靡した漫画作品「最終兵器彼女」。

無愛想で不器用ながらも根は優しい主人公、シュウジと、気が弱くてドジな少女、ちせが付き合い始めるところから物語は始まります。

最終兵器彼女あらすじ

初々しい高校生のカップルの、もどかしいやり取りやすれ違いが可愛く、微笑ましいばかりなのですが、「最終兵器彼女」は話が進むにつれて、衝撃的な展開が訪れます。

ちせが最終兵器に改造され、人間ではなくなってしまうのです。兵器になった彼女を、シュウジは愛し抜けるのか?それが「最終兵器彼女」の物語の肝です。

 

正直すぎる主人公とヒロイン

 

シュウジとちせの交際は、ちせの告白がきっかけです。しかし、ちせはシュウジが好きだから告白したのではなく、友人に度胸試しとして提案されたもので、まさかOKされるとは思ってもいませんでした。

シュウジも、顔がかわいいからという理由でOKしたため、2人の恋は芽すら出ていない状態なのです。

このでこぼこな2人の恋模様がどう展開していくのか、やきもきしながら見守ることになります。「最終兵器彼女」の1話だけ見れば可愛いだけの話なのですが、2話から話の方向性が変わっていきます。

ちせが兵器になってしまうのです。ラブコメからシリアスへと変わっていく様子が切なくも面白く、目が離せなくなります。

 

少女と兵器というアンバランスさ

 

兵器になったちせは、ちせの服や肌を突き破って羽根が生え、腕が銃に変形した姿をしています。

兵器の状態が解除された後、羽根が生えていた部分に血が滲んでいる描写があり、非常に痛ましいです。

兵器になったとはいっても心はちせのままなので、戦った記憶もあり、学校にも行きます。ちせが最終兵器になったことは、ちせの家族は知りません。

ちせの座右の銘は『強くなりたい』なのですが、最終兵器になったことで、心も体も強制的に強くならざるを得なくなります。

「最終兵器彼女」の作中で、ちせが何故兵器になったのか明確に語られる場面はないのですが、漫画の中で語られる情報から考察してみるのも「最終兵器彼女」の楽しみ方の一つです。

 

嫉妬や弱さを余すこと無く描く

 

シュウジは、手放しではかっこいいヒーローと言えないキャラクターです。ちせが大変な時に、初恋の女性に再会して翻弄されたりします。

ちせが兵器になったことに関しても、受け入れようと頑張るも心が追いつかないという描写が多いです。

シュウジだけでなく、ちせや他のキャラクターにも葛藤や恐れ等が丁寧に描かれており、体温を感じます。

平和だと思っていた日常が脅かされて浮き彫りになるキャラクター達の本音や弱さ、強さに胸が締め付けられます。

有り得ないようで、全くそうとは言い切れない状況にある彼らを見ていると、一日一日をもっと大切に生きようという勇気をもらえます。

 

成長するちせとシュウジ

 

ちせは兵器として強くなるほどに、体温や味覚、触覚など、兵器に必要のない体の機能を失っていきます。

精神面にも変化が見られ、普段は穏やかなちせがこともなげに残酷な発言をする描写が増えます。

その様子はまるで別の人格が生まれたようにすら見えます。対するシュウジは、初恋を断ち切り、友人の死などを乗り越えて成長し、ちせの全てを受け入れて愛しぬく決意が固まります。

シュウジは人間的に成長し、ちせは最終兵器として成長し、人の心が徐々に欠けていくけれど、シュウジを愛する気持ちだけは変わりません。この2人の対極な成長が、物語に深みを生み、悲劇を招くことになるのです。

高橋しん作品

高橋しんの作品は、「最終兵器彼女」だけでなく、他作品もかなり切ないです。

「最終兵器彼女」のジャンルはあくまでラブストーリー

 

 戦争や死が絡んだ重い作品ですが、主軸はシュウジとちせの恋です。

そのため、戦闘シーンは必要最低限であり、敵の詳細な説明もありません。そういった設定は、シュウジとちせが知りうる情報のみが読者に伝わるように描かれているのだと思います。

その意図は恐らく、メインキャラクターと同じ情報だけであれば、読者が彼らに近い目線や考えで物事を捉えられるからであると私は考えます。

「最終兵器彼女」という作品は、ヒロインが兵器という突飛な設定なので、結末もなかなかに突飛なのですが、シュウジとちせはどこに居ようが、シュウジとちせであることに変わりはないと思えるラストでした。

青年誌に掲載されていた作品のために生々しい描写が多いですが、だからこそ様々な出来事や心の動きがリアルに感じられます。思い切り泣きたい時に「最終兵器彼女」は最適な作品です。

 

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