ハリウッドの思う壺

主に漫画についてまとめています。

映画「アレクサンドリア」でわかる宗教対立

4世紀、ローマ帝国末期のエジプトでは、キリスト教が勢力を拡大。しかし元々のエジプトの神々を信仰していた人達はまだおり、キリスト教徒と対立。

アレクサンドリアあらすじ

女哲学者のヒュパティアは、学問一筋の教師ながらも、自身が学びまた生徒に教えを説く場である図書館が、当時エジプトの神々の信仰の場でもあったこと、また実父テオンが図書館館長だった為、エジプト教徒側に属していました。


 

 

ヒュパティアとはどんな女性?

ヒュパティアは争いに価値はないとして、講義に専念する女性。

ヒュパティアの学問の教えは、家柄を問わず若い生徒達を魅了しており、生徒のオレステスは彼女に恋心を頂く程でした。

加えて、ヒュパティアの奴隷にして助手のダオスも彼女に惹かれていた為、オレステスの行動に苛立ちを感じています。

また、彼らのように恋心まで抱かないまでも、シュネシオスもヒュパティアの教えに夢中な生徒の1人でした。このように若い学生が集まる所に、アレクサンドリアの貴族達やエジプトの神々を信じる人達は、キリスト教徒への弾圧を計画しますが…。

 

小さな対立から大きな対立へ…収拾がつかなくなる

現代でもいまだに宗教対立は続いていますが、まるでその根源がここにあるのではないかと錯覚するほど、映画「アレクサンドリア」では対立が鮮明に細かく表現。

偶像崇拝をし、人間と似たような事をするエジプトの神々を、キリスト教徒達は酷く愚弄します。

当然、エジプトの神々を信仰する人々はそれに怒り、キリスト教徒に制裁を加えます。しかしそれに対してキリスト教徒が復讐をするという負の連鎖が続き、どんどん争いの規模は大きくなります。

ついにはローマ帝国、またアレクサンドリアにいる軍ですらそれらを抑えられなくなるほどに。

しかもキリスト教の勢力は、予想以上にアレクサンドリアに多くいた為、エジプトの神々を信仰する人々は驚愕しました。

それほど根をはっていたことに彼らは気づかず、またキリスト教徒も勝てる見込みがあったことを知っていたという、ある意味でキリスト教徒には計画通りの争いでもあったのです。

女教師ヒュパティアに夢中な男達

レイチェル・ワイズ演じる美しいヒュパティアに、若い生徒達は夢中です。初めは若気の至りかと思えたオレステスも、生徒時代から物語最後まで彼女を思い続けます。

レイチェル・ワイズの出演作品

若い頃の彼は、大人げない部分と同時に大胆な青年でもありました。なんと舞台劇場で、ヒュパティアに愛の告白といって笛の演奏をプレゼントするほどです。

周囲は、それほどの男なら彼が相応しいと言いますが、結局学問や研究一筋のヒュパティアは断ってしまいます。

父テオンが言っていた通り、ヒュパティアは世間一般の女、妻として収まる女性ではかったのです。

そのことは映画「アレクサンドリア」でよく物語っていました。またヒュパティアの学問の助手で、奴隷のダオスは、学問にも通じており優秀な人物。ヒュパティアの魅力的な人間性にも惚れ込んでおり、紆余曲折があったとは言え、ヒュパティアへの愛は変わりませんでした。

アレクサンドリア図書館の崩壊

エジプトの神々の銅像が立ち並び、人類が培ってきた英知が研修した図書館は、その神々を信仰する人達にとって聖地でした。

しかし彼らがキリスト教徒を襲う反乱を起こしたことで、反対に返り討ちあってしまいました。キリスト教徒の多さと力はとてつもなく、これは勝てないと判断して、反乱を起こした人達は図書館に篭城しました。

その門は頑丈ながら、ローマ帝国の軍と皇帝の助けを待つしか術はありませんでした。しかし巨大なローマ帝国も滅びようかという時代、皇帝の勅命は彼らにとって受け入れられないものでした。

その内容は、反乱は許すが図書館はキリスト教徒に明け渡せ、というものでした。

この命令が下ると一気にキリスト教徒がなだれ込み、図書館は陥落。

キリスト教徒によりエジプトの神々を祀った銅像は破壊され、図書館の本(巻物)は燃やされてしまいました。

かろうじてエジプト教徒やヒュパティアらが一部を持ち出しましたが、微々たるもので、ヒュパティアは泣き崩れました。

図書館崩壊と同時に変化した人間関係

オレステスは、ヒュパティアに愛の告白を拒否されましたが、それでも図書館陥落の際も彼女を必死に守ろうとし、その後も変わりませんでした。

ただ、シュネシオスは実はキリスト教徒であった為、忍びなくもヒュパティア(が眠っている最中)に別れを告げて陥落前に去ってしまいましたし、奴隷のダオスもまたキリスト教徒になってしまいました。

ダオスは彼女を愛していたものの、身分違いの恋に限界を感じていました。また父テオンも自身のキリスト教徒の奴隷に負傷させられ、それをきっかけに死に至ってしまいました。

しかしここで終わらないのが映画「アレクサンドリア」の面白い所。

数年後、彼らは姿を変えてヒュパティアと再会します。オレステスはアレクサンドリアの長官に出世し、シュネシオスはキュレネ主教に、ダオスもまた一定の自由と力のあるキリスト教徒となっていました。

それでもヒュパティアは相変わらず、研究に没頭していました。

のちのケプラーの法則を発見するほどで、ヒュパティアの研究熱心さは、かつての生徒達も驚き、尊ぶものでした。

愛よりも研究に命を捧げた女性

アレクサンドリアの長官となったオレステスですが、彼の権力と武力をもってしても、キリスト教の勢力拡大は抑えられませんでした。

キュリロス(総主教)の宗教的権威と権力も絶大で、ついに政府の議会の議員全ての人間も、キリスト教へ改宗させられました。

同時にオレステスに影響を及ぼすヒュパティアをも弾劾します。キリスト教の聖書における女性のあり方に反し、加えて神々を信仰しない無神教者である事を罪としたのです。オレステスは勿論これに抵抗しようとしますが、もはやそれは叶いませんでした。それだけキリスト教の力が強かったのです。

その為、ヒュパティアは最後魔女扱いされ、全裸で殺されそうになります。ナイフといった凶器ではなく、石を殴りつける惨い方法です。

そこにダオスがかつての主人への想い(愛)から、せめてヒュパティアが苦しまいないようにと窒息死させてあげます。

苦しみながら死んでいくことを見ることができない彼なりの、ヒュパティアへの愛でした。

最後は悲しい結末となったヒュパティア。

大きな悲鳴をあげたり、命乞いすることなく、自分の信念を曲げずに死んでいった立派な女性でした。

ページ上部へ