ハリウッドの思う壺

主に漫画についてまとめています。

狂女?それとも名君「女王フアナ」

中世ヨーロッパ、イベリア半島にあったカスティーリャ王国。のちのスペインの中核となる国。日本でカステラで親しまれるお菓子の語源となったとも言われています。

スペイン宮廷を描いた作品は、日本ではほとんど上映されることはありませんので、イギリスやフランスの宮廷映画が好きな方はぜひ、手を伸ばして「女王フアナ」を鑑賞してみてください。

夫を愛しすぎて狂女といわれたファナ

「女王ファナ」は、カスティーリャの女王で、ドイツの名門ハプスブルグ家のフィリップ美公(フェリペ1世とも)を夫に迎えました。激しい接吻に心奪われたファナでしたが、フィリップには戯れの延長。すぐにムーア人の下女を妾にし始めます。

しかし、ファナはフィリップの愛を得るために、激しい求愛を彼にしまう。それは、他人の目から見ると見るに堪えないもの。

 ファナは女王の立場を忘れるほどフィリップに病的に執着します。ファナを演じるのは、ピラール・ロペス・デ・アジャラ。身体を張った狂女っぷりの演技は凄まじく素晴らしいの一言。

王室の形に収まららない男性陣に注目

 西洋では、異国の者同士が結婚という形を取り同盟の証として国を大きくしてきました。

ファナはカスティーリャ女王ですが、フィリップは自らも王であると「僭称(せんしょう)」します。

僭称とは自らの身分を超えた地位・称号を名乗ることです。通常の王族同士の結婚であれば女王の配偶者として「王配」が適切です。しかし、フィリップはハプスブルグ家の出身ということもあり政治的思惑も関係して自らも王であると僭称したのでした。

「王配」という制度自体が日本人にとっては珍しいものです。さらには、嫁いできた夫が自ら王と僭称することもなかなかないことなので、そう言った制度の部分も「女王ファナ」は日本映画にはない珍しさがあります。

 血筋を継ぐために沸き起こる混乱

 フアナの実母イサベル一世もカスティーリャ女王。また、フアナの実父はアラゴン王(フェルナンド2世)です。

イザベル一世が亡くなると、フェルナンド2世はカスティーリャ王の地位を失います。ファナの夫が毒殺され発狂したファナの代わりに摂政と努めます。その後、アラゴン王の血筋を継ぐ男児を渇望し従姉妹を再婚をします。

王配の形に収まらない「女王ファナ」の男性陣。彼らの思惑で一層、歴史は複雑となり面白味が増していきます。日本人には馴染みのない王室の形ですが、少し知識を深めるとぐっと楽しめます。

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愛すれば愛するほど、夫に遠ざけられるファナ

まるで狂ったかのようにファナはフィリップを愛します。しかし、ファナがフィリップを愛すれば愛するほど、フィリップはファナを冷たくあしらいます。

例えば、宮廷内で女遊びに夢中になり愛人を作ったり。その行為は、ファナの女官にも及びました。ファナはフィリップが手を出した女官に、自ら長く鋭い剣を向けるほど怒り心頭!

重篤化していくファナの嫉妬

ファナはフィリップの浮気心を押えるため、思い切った策を講じます。それは、ファナに使える女官を全員、不細工な者に変えてしまうこと。

ファナを純粋に愛せないフィリップの男心

フィリップも結婚当初は、美しいファナを愛しました。しかし、妻の方が高位というのは、男性のプライドが邪魔をして純粋に愛を注げませんでした。

その感情はこじれにこじれ、ついにはフィリップはファナを女王の座から引きずり下ろそうとします。

フィリップのこの行為により、フアナは政治的にも夫と対決せざるをえなくなってしまいました。

対立しても夫を愛していたファナ

フィリップはカスティーリャ王として、国の実権を握ろうとします。しかし、フィリップがファナ以上に優れた人間であったかは疑問。ハプスブルグ家出身という身分からくる自信や野心のある貴族や官僚にそそのかされた部分もあります。

 さらに、フアナの実父フェルナンド二世までフィリップに加担してファナを女王の座から引きずり下ろそうとします。

フィリップがファナから王位を奪うための名分としたのが、「彼女が狂っている(から代わりに政権を担う)」という事。

しかし、ファナは議会で堂々と自らがカスティーリャの女王であることを宣言します。愛するフィリップの主張を真っ向から否定したわけです。

堂々とした姿に、「狂女」の雰囲気は見当たりません。

ファナは狂女であったか否か

フィリップはカスティーリャ国の王位争いに敗れると同時に急死。一説にはファナが毒殺したとう説もありますが、「女王ファナ」では、犯人は彼女ではないとしています。

なぜなら、フィリップの死を一番悲しんだのがフアナだったからです。

狂女であれば、愛する者の死を純粋に悲しむことができるでしょうか?

フィリップへ度を越した愛し方で狂女と呼ばれてしまったファナですが、決して真の狂い人ではなかったのだと「女王ファナ」のラストはよく表現していました。

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